香港では、少し体調が悪いなぁと感じたら、風邪引き予防に「感冒茶」、油ものを食べ過ぎたなぁと思えば、体から熱をとるために「涼茶」を街角にある涼茶屋さん(涼茶舗)にちょっと立ち寄って飲んだりと、漢方飲料は身近な存在となっています。街角にある涼茶屋さんだけではなく、スーパーマーケット(超市)でも様々な種類の漢方飲料がペットボトルで店頭に並んでいます。
種類がたくさん有りすぎてどれが体に良いのか、美味しいのか分からないので、スーパーの棚にある漢方ペットボトル飲料の多くを占めている漢方飲料メーカー「鴻福堂」(Hung Fook Tong)が出している商品を大人買いして、飲み比べてみました。
買ってきた漢方飲料はコチラ。いろいろと買ってきました。
- 鶏骨草 (ガイ グワッ チョウ)
- 雪梨茶 (シュッ レイ チャー)
- 竹蔗茅根 (ジュッ ジェー マアウ ガン)
- 清補涼 (チン ボー リョン)
- 夏枯草 (ハー フー チョウ)
- 花旗参 (ファー ケイ チャーン)
- 花旗参蜜 (ファー ケイ チャーン マッ)
- 鴻福堂涼茶 (ホン ホッ トン リョン チャー)
- 羅漢果 (ロゥ ホン グウォ)
- 銀菊露 (ンガン ゴッ ロゥ)
甘さ、渋さ、薬草臭さ、フルーティーさと総合評価という項目で評価して、勝手にランキングにしてみました。それでは早速、総合評価が星1つの第10位から紹介していきます。
ファイト一発!花旗参 (ファー ケイ チャーン) 第10位
透明で爽やかさな見た目とは裏腹に、強烈な苦みと土の味が口一杯に広がります。
まさに、良薬口に苦し、とはこのことで、ちょっとむかつくあの人に一口飲ませたい気分になります。
花旗参とは、アメリカニンジンと呼ばれる薬用植物で、根の部分を薬用として用います。
朝鮮人参に似た強壮作用と、解熱鎮静作用があり、ほてりやのぼせなどが見られる時には最適の飲み物です。
アメリカニンジンに含まれる「Ginsenoside ジンセノサイド」と呼ばれる成分が疲れにくくし、集中力を高める効果があるそうです。
体に良いとはいえ、土の味です。
甘さ ☆☆☆☆☆
渋さ ★★★★★
薬草臭さ ★★★★★
フルーティーさ ★☆☆☆☆
総合 ★☆☆☆☆
まだ飲み易いけど・・・ 花旗参蜜 (ファー ケイ チャーン マッ) 第9位
第10位の花旗参と同じ水色で見た目の違いは、人参のすり身が漂っているところ。
花旗参蜜という商品名の最後に「蜜」という文字が示すように、花旗参に蜂蜜を加え、甘くした感じです。
ただ、甘さを加えただけでは、隠しきれない人参の土臭さが口の中に広がります。甘さがある分だけ、第10位の花旗参よりまだ飲みやすいですが、それでも飲む人を選ぶ味です。
甘さ ★☆☆☆☆
渋さ ★★★★☆
薬草臭さ ★★★★★
フルーティーさ ★☆☆☆☆
総合 ★★☆☆☆
同点で第4位が5つ横並びです。
肝臓に効く!鶏骨草 (ガイ グワッ チョウ) 第4位タイ
鶏骨草は、中国にて肝臓病治療薬として伝統的な使用されている漢方で、「清熱解毒」「舒肝止痛」の作業があります。これは身体の熱をとり、肝臓を休める効果があります。また、胃腸痛等にも良いようです。
肝臓に良いので、よくお酒を飲む方にピッタシの漢方飲料です。
また、「甘草」も配合されており、脾臓や胃に良く、痰をとってくれる効果もあります。
気になる鶏骨草ですが、涼粉ゼリーが飲料になった感じで、サトウキビジュースのような甘さです。
若干、漢方くさいですが、渋さ控えめで飲みやすいです。
甘さ ★★★☆☆
渋さ ★☆☆☆☆
薬草臭さ ★★★★★
フルーティーさ ☆☆☆☆☆
総合 ★★★☆☆
夏の渇きを癒す竹蔗茅根 (ジュッ ジェー マアウ ガン) 第4位タイ
「竹蔗」は「さとうきび」で、喉を潤し、渇きを除く効果があります。
「茅根」は非常に強い繁殖力で「世界最強の雑草」という称号すらある「チガヤ」というイネ科の植物の根っこです。熱をとり、利尿作用があり、むくみを取る効果があります。
夏の暑い日の身体の渇きを癒すには最強の漢方ドリンクとなっています。
サトウキビの絞り汁の味が強く、若干、香ばしい香りする味わいです。
薬草感控えめで美味しく飲めます。甘いですけどね。
甘さ ★★★★☆
渋さ ☆☆☆☆☆
薬草臭さ ★★★☆☆
フルーティーさ ☆☆☆☆☆
総合 ★★★☆☆
最近潤いが少なければ、雪梨茶 (シュッ レイ チャー) 第4位タイ
中国梨の一種である「雪梨」を使った飲料です。
体液や唾液の分泌を促し、潤いをもたらす作用があります。
スッキリとした甘味で、爽やかな味に仕上がっていています。
梨とありますが、それほど、梨の味は感じません。
甘さ ★★★★☆
渋さ ☆☆☆☆☆
薬草臭さ ☆☆☆☆☆
フルーティーさ ★★★☆☆
総合 ★★★☆☆
ほんのり甘みでごくごく羅漢果 (ロゥ ホン グウォ) 第4位タイ
羅漢果(らかんか)は、ウリ科のつる植物の実で、乾燥させた実を砕いて煎じて羅漢果茶として飲みます。
羅漢果自体に甘味があり、喉や肺を潤し、咳を鎮める作用があります。
漢果茶の味は、ほんのり甘いお茶という感じで、可もなく不可もなく、水代わりにごくごく飲めます。
甘さ ★☆☆☆☆
渋さ ☆☆☆☆☆
薬草臭さ ★★★★☆
フルーティーさ ☆☆☆☆☆
総合 ★★★☆☆
むくみやめまいに夏枯草 (ハー フー チョウ) 第4位タイ
「夏枯草」は日本で「ウツボグサ」という名で、日本でも薬局などで入手できる生薬です。
利尿・消炎作用があり、できものやむくみを解消する作用や解熱作用があります。また、高血圧や結膜炎、めまいなどにも用いられるようです。
また、「羅漢果」「甘草」も使われているので、こちらの成分が持つ効果も期待できます。
「夏枯草」ドリンクは、見た目の色でかなり薬草臭そうですが、そうでもなく、甘さ控えめでまろやかで飲み易く仕上がっています。
甘さ ★★☆☆☆
渋さ ☆☆☆☆☆
薬草臭さ ★★★☆☆
フルーティーさ ★☆☆☆☆
総合 ★★★☆☆
次は、第2位です。
同点で第1位が2つ並びます。
菊の香りで一息 銀菊露 (ンガン ゴッ ロゥ) 第2位タイ
銀菊露は、菊花(菊の花)と金銀花(スイカズラ)を材料に作られる漢方ドリンクです。
菊の花には、抗菌作用や解熱作用があり、頭痛やめまいにも効果があります。
また、蜂蜜も入っており、喉と肺を潤し、解熱し、腸の動きを滑らかにする作用があります。
菊の香りがホンワカし、蜂蜜のほのかな甘みで非常に飲み易い漢方飲料です。
甘さ ★★☆☆☆
渋さ ☆☆☆☆☆
薬草臭さ ★☆☆☆☆
フルーティーさ ★☆☆☆☆
総合 ★★★★☆
程よい甘みで爽やかな味 清補涼 (チン ボー リョン) 第2位タイ
「清補涼」は身体の熱気をとり、喉と肺をしっとりと潤おします。
材料には、百合(ユリ根)、玉竹(アマドコロ)、薏米(ハトムギ)、蓮子(ハスの実)、龍眼(ロンガン)などなど色々入っています。
清補涼は、良い香りで、程よい甘みで癒し系。見た目通りの爽やかな味わいです。
甘さ ★★★☆☆
渋さ ☆☆☆☆☆
薬草臭さ ★☆☆☆☆
フルーティーさ ★★★★☆
総合 ★★★★☆
鴻福堂涼茶 (ホン ホッ トン リョン チャー) 第1位
最後にトリを飾るのは「鴻福堂涼茶」。「鴻福堂」という社名を掲げる涼茶だけあって、一番飲み易い味で、どれか一本選ぶなら、この一本かなぁ、という感じでした。
相思藤、鶏骨草、菊花、金銭草、水翁花、布渣葉、甘草、羅漢果、という色々な漢方草が入っており、これまで紹介してきた漢方ドリンクに入っていた材料がほぼ全部入りかな、と思うほど。
「相思藤」は、暑気取り、体液や唾液の分泌促進、肺を潤したり、利尿作用を有しています。その為、風邪引きや喉の痛み、咳などに良いようです。
「布渣葉」は、暑気取り、消化促進、タン取りの作用があります。そのため、風邪、熱射病、消化不要、下痢に良いようです。
パッケージに「廿四味」(24味)とあり、街中の涼茶舗で飲める廿四味茶のように苦くて飲みにくいのかなと思ったのですが、期待を裏切って、まったく飲み易い味でした。廿四味茶とはまったく別物のようですね。甘さと薬草くささのバランスがよく飲み易い味に仕上がっています。これはイケル!
甘さ ★★★☆☆
渋さ ★☆☆☆☆
薬草臭さ ★★★☆☆
フルーティーさ ★☆☆☆☆
総合 ★★★★★
涼茶舗には他にもあるある漢方飲料
今回はスーパーマーケットの売り場にあったペットボトル入りの漢方ドリンクを1種類づつ買ってみたのですが、これらの他にも街中の涼茶舗では他にも以下のような別の漢方ドリンクを飲むことができます。
去濕茶
気付け、利尿作用。疲労、胸や腹部の膨満感、食欲不振、排尿不振といった症状の緩和に役立ちます。
五花茶
金銀花、菊花、雞蛋花、葛花、木棉花等を材料とする漢方茶。熱気取り、解毒、体内の余分な水分の排出、消炎作用があります。喉の痛み、頭痛やめまいを緩和し、せきを止め、喉の渇きをとめてくれます。
火麻仁
火麻仁とは大麻の乾燥させた種を材料とする漢方飲料です。ミルク色の飲料で、甘くて美味しいです。潤いを保持し、腸を滑らかにし、通便の作用があります。
酸梅湯
梅、サンザシと甘草を材料とする甘酸っぱい漢方飲料で美味しいです。渇きを止め、食欲・消化を促し、熱を取り、体液の分泌を促します。暴飲暴食や消化不良の方に最適です。
感冒茶
風邪の予防・治癒作用をもつ材料で作られる漢方飲料です。煎藥のように苦い味で、だるさ、関節の痛み、鼻水といった症状が出始めた風邪引きの最初の頃に最適です。お店によっては、風邪のタイプに応じた感冒茶を用意している涼茶舗もあります。
廿四味
非常に苦い味の漢方飲料です。「廿四」とは「24味」という意味なのですが、10種類から20数種類の材料を煮て作られます。苦梅根、相思藤、水翁花、布渣葉、救必應といった薬草が主に使われます。
決して美味しくない味である分、効果は抜群のようで、発汗作用、熱気取り、解毒作用、鎮痛、排尿・排泄作用、消化促進、タン取り、解熱などといった様々な効果があるようです。
奥深い漢方ドリンクの世界
いやぁ、香港の漢方ドリンクの世界は奥深いですね。
香港旅行で歩き回り、ちょっと疲れたらスタバで休憩も良いのですが、涼茶舗で漢方飲料を飲んで小休止したり、コンビニに並ぶペットボトル入り漢方飲料で一息つくのも悪くないですよ。一度、試してみてはいかがですか?