香港でも愛し愛されて40年の日本ブランド「出前一丁」

出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
2009年4月4日

出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
Chut Chin Yat Ding (チュッチンヤッディン)
【固名】日清食品のインスタント・ラーメンの一つ。
香港の日常にすっかり溶け込んでいる日本ブランド。昔は日本から輸入されていたが、現在は香港新界にある大埔工業団地にある日清の工場で製造されている。

インスタントラーメンと言えば、何を思い浮かべますか?
カップヌードル、サッポロ一番、明星チャルメラ、エースコックのワンタンメン、まるちゃん赤いキツネ、とかですかねぇ。
ここ、香港において、「インスタントラーメン」と言えば、まず、開口一番、「出前一丁」。
そんな香港を席巻する「出前一丁」事情をお知らせしたいと思います。

スーパーの乾麺コーナーを埋め尽くす出前一丁。

スーパーの乾麺コーナーに行くと、タイのトムヤンクン・ヌードルや韓国の辛ラーメンといった各国のインスタントラーメンや米線や麺線、海老麺など中国独自の乾麺など様々並んでいます。

そんな様々な種類が並んでいる乾麺コーナーの他のブランドよりも多く埋め尽くしているインスタント・ラーメンがあります。

それが、日清の「出前一丁」なんです。

出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン

お馴染みの袋入り麺もよく見ると、ごくごく普通のオリジナル「出前一丁」は一部を占めるのみで、驚くほど豊富なバリエーションの「出前一丁」が揃っています。

  • 【原味】 日本でもお馴染みのオリジナル・テイスト。元祖出前一丁。鉄板です。
  • 【XO醤海鮮麺】 高級調味料で知られるXO醤入り。エビの味を感じた後に、ピリッと辛みな後味が来るスープが、飽きずに食べさせてくれるイイお味です。
  • 【極辛猪骨湯麺】 激辛!豚骨スープ味。麺にも練りこまれたトウガラシ。明らかに真っ赤なスープ。口から喉まで辛さで痺れずにはいられません。でも、なぜかツイツイもっと食べたくなる美味しい辛さ。ヤミツキです。
  • 【咖喱麺】 カレー味。エスニック風なカレー味です。ココナッツ風味でほんのり甘いお味は、ちょっと遠慮させていただきたいかと… orz
  • 【香辣海鮮麺】 ピリ辛!海鮮味。
  • 【紅焼牛肉麺】 油で炒めた砂糖と醤油の味付けが紅焼。台湾の有名なお味かなぁ。
  • 【鶏蓉麺】 鶏スープ味。あっさり。
  • 【香辣麺】 辛い味。トウガラシ味。
  • 【九州猪骨濃湯麺】 九州濃厚トンコツスープ味。
  • 【札幌香蒜照焼鶏湯麺】 札幌にんにく照焼チキン味。かなり強いにんにく風味です。なぜ「照り焼き」?なぜ「照り焼きチキン」が「札幌」?
  • 【北海道麺豉湯麺】 北海道味噌スープ味。やっぱ、北海道は「照焼チキン」ではなく、「味噌」でしょ。濃厚な味噌の味です。

また、袋麺だけでなく、カップ入り出前一丁やミニカップ麺、ノンフライ「生麺」使用のちょっぴり高級ライン、はたまたマカロニ(通心)の「出前一丁」まで揃っています。

カップ麺 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
カップ麺の出前一丁
ミニカップ麺 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
さらに小さいサイズの出前一丁カップ麺
米線 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
さらには米線の出前一丁
カップ麺 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
少し小さいサイズカップ麺の出前一丁も
生麺タイプ - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
高級路線 生めん出前一丁
マカロニ - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
マカロニの出前一丁まであります

「出前一丁」は追加料金になります。

レストラン専用 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン

香港では、ご飯や軽食を気軽に食べにいく「茶餐廳」という喫茶店というか、町の食堂といったお店がそこら中にあり、いつも地元のお客さんで賑わっています。

地元の人が通う「茶餐廳」でも「出前一丁」は、大人気です。

「茶餐廳」で麺類を頼むと、「油麺」「河粉」「米粉」「米線」「瀬粉」「公仔麺」「伊麺」と色々ある麺の種類からどれにするのか聞かれます。その際に「出前一丁」を麺の種類として指定することが出来ます。ただ、他の麺とは異なり、「出前一丁」の指定には、2香港ドルほどの割増料金が必要になります。

アップグレード料金を出してまで、「出前一丁」を食べる選択肢が存在するとは、香港人の心の中に、「出前一丁」がいかにブランドが確立されているのか、という事実に驚きます。

ただ、何がなんでも追加料金を払って「出前一丁」を頼んでおけば良い、とは限らないようです。香港人の友人より次のような興味深い話を聞くことがありました。
「出前一丁」にしてしまうと、どの店でも同じ味になってしまう。でも、追加料金なしの普通の「インスタント・ラーメン」で頼んでおくと、お店によって使用する麺が異なり、お店が創意工夫の結果やお店によって異なる独自の味が楽しめることが出来る、だそうです。

「出前一丁」の香港人の食生活への溶け込み具合は、これで収まりません。
まだまだ、色々な機会で「出前一丁」を見かけることが出来ます。

とある火鍋やさんで、〆に麺でも入れようかと思い、メニューをパラパラとめくると、「出前一丁」と書かれています。日本のお鍋でおうどんを入れる感じで「出前一丁」を入れるということですね。これはこれで納得。あー、普通に美味しい。

出前一丁炒め - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン

香港では、汁麺だけではなく、撈麺(lou min)と呼ばれる具と混ぜて食べる麺(スープは別)があります。

右の写真は、中環(セントラル)にある超人気な茶餐廳「蘭芳園」にある「葱油鶏扒撈丁」という撈麺のメニューです。よくよく見ると、メニューに「出前一丁」の「丁」という文字があるでしょう?これ、「出前一丁」のことなんです。そうです、「出前一丁」の和え麺なんです。

「和え麺」だと、ラーメン屋さんの「つけ麺」と同様、麺自体の味がより際立つ為、どの麺を選ぶのかが結構重要になるはずですよね。そこを「出前一丁」を採用しているとは、よっぽど「出前一丁」の味が支持されているという証ですね。

出前一丁炒め - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン

「出前一丁」と一見関係がなさそうなタイ料理やさんでも、出てきました。

ここで見かけたメニューは、「香草辣肉碎炒一丁」。牛挽肉とバジル炒めの出前一丁あえ麺。

ほら、このメニューにも、「一丁」の文字が。

食堂専用まである「出前一丁」

レストラン専用 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
レストラン専用 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン

茶餐廳でお昼を食べていて、目についたのが、「餐廳専用」(食堂専用)と書かれた「出前一丁」のケース。食堂でも人気なだけに食堂専用の業務用「出前一丁」が存在するのも納得がいきます。

ただ、中身は普通の「出前一丁」とどう違うんだろうと、なにやら気がやきもきしてきました。業務用なだけに、あの「出前坊や」の書かれた袋ではない簡素な包装になっているのか、麺だけが入っていて、スープとラー油が入ってないのか…あー、色々な妄想が頭の中を駆け巡って、悶々としちゃいます。

レストラン専用 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン
レストラン専用 - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン

で、そんな悶々とした月日を過ごして、数ヶ月。その時がやってきたのです。業務用「出前一丁」の中身を知る日が!

それは、ある日、火鍋屋さんで「出前一丁」を頼んだ時でした。店員さんが運んできた「出前一丁」の包装には、「餐廳専用」と書かれています。やりました!遂に業務用「出前一丁」の正体を知ることができます!

と喜んでいたのですが、包装で違う点は、「餐廳専用」と書かれているか、いないかのみ。包装の中から出てきたのは、 
  麺と、スープと、ラー油。
「なーーんだ、ごく普通の出前一丁と一緒じゃぁん。」

出前坊やも、もう40歳の大人です。

香港日清ウェブサイト - 出前一丁 – 香港で一番有名な日清食品のインスタント・ラーメン

「出前一丁」といえば、「…じょ」と話す「出前坊や」も広く知られていますが、香港でも「清仔」(Ching Jai チンジャイ)という名前で親しまれています。

「出前一丁」を製造・販売している日清食品・香港のホームページでは、「清仔」のCMを見ることができ、そのCMのひとつでは、もう40歳だと主張する実写版「清仔」を見ることができます。(どうやら「出前一丁」が発売されて40周年記念のCMらしいです。)

■日清食品(香港) 出前一丁

http://www.nissinfoods.com.hk/04_room/04_index.aspx

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