香港が誇るフラッグシップ・キャリアであるキャセイパシフィック航空のマイレージプログラムである「アジア・マイル」(Asia Mile)と「ザ・マルコポーロクラブ」(The Marco Polo Club) について、前回の記事にて取り上げました。
今回の記事では、「マルコポーロクラブ」について、より詳しく見ていきたいと思います。
前回の記事 キャセイパシフィック航空 のマイレージプログラム「アジアマイル」と「マルコポーロクラブ」
マルコポーロクラブ | アジアマイル | |
---|---|---|
入会金 | 100米ドル | 無料 |
会員特典 | 優先チェックイン・搭乗や上級会員になるにつれてビジネスクラスラウンジが使えるといった特典が利用に。 | アジア・マイルという名称のマイルを貯め、航空券などに交換できる。 |
より頻繁に 乗ると… |
キャセイパシフィック航空や香港ドラゴン空港の利用で、平会員であるグリーン・ティアから上級会員にランクアップすることができる。 | キャセイパシフィック航空や香港ドラゴン空港の利用でマイルは貯まるが、会員ランクはそのまま。 |
マルコポーロクラブで「予約」時に利用できる特典
マルコポーロクラブの会員ランクは「グリーン」から始まり、キャセイパシフィック航空のフライト搭乗を重ねることにより、「シルバー」「ゴールド」「ダイヤモンド」へとランクアップしていき、ランクが上がるにつれ、より多く、より優れた特典を利用できるようになります。
それでは、マルコポーロクラブで利用できる特典を「予約」「チェックインおよび搭乗」「ラウンジ利用」の4つの場面に分けてみていきます。
グリーン | シルバー | ゴールド | ダイアモンド | |
---|---|---|---|---|
特典交換でのエクストラ・レッグルーム席利用 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
エクストラ・レッグルーム席 | ◯ | ◯ | ◯ | |
事前座席指定 | ◯ | ◯ | ◯ | |
キャンセル待ちの優先的取扱い | ◯ | ◯ | ◯ | |
エコノミークラス座席保証 | ◯ | ◯ | ||
プレミアム・エコノミークラス座席保証 | ◯ | |||
ビジネスクラス座席保証 | ◯ |
まずは予約時に利用できる特典ですが、シルバー・ティアから利用できる「事前座席指定」が重宝する特典ではないでしょうか?
また、エコノミーでも比較的足元のスペースが広いエクストラ・レッグルーム席こと、非常口座席を指定するのは有料となっているのですが、「エクストラ・レッグルーム席」指定が、シルバーからは無料で出来るようになります。
平会員である「グリーン・ティア」だと、エクストラ・レッグルーム席利用をアジアマイルのマイルを使って可能になる特典のみ。グリーンだと予約時の特典で魅力的なものはなく、せめてシルバー・ティア以上となっていたいものです。
マルコポーロクラブで「チェックインおよび搭乗」時に利用できる特典
グリーン | シルバー | ゴールド | ダイアモンド | |
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チェックイン | マルコポーロクラブ専用カウンター | ビジネスクラス・カウンター | ビジネスクラス・カウンター | ファーストクラス・カウンター |
優先搭乗 | ◯ 会員のみ利用可 | ◯ 旅行同伴者も利用可 | ◯ | ◯ |
超過手荷物許容量の特典交換 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
追加受託手荷物許容量 | 10kg | 15kgまたは1個 | 20kgまたは1個 | |
機内持ち込み手荷物特別許容量 | 10kg | 10kg | 15kg | |
手荷物の優先的取扱い | ◯ | ◯ | ◯ |
「チェックインおよび搭乗」時に利用できる特典になると、平会員のグリーン・ティアでも利用できる特典もでてきます。それは、「マルコポーロクラブ専用カウンターでのチェックイン」と「優先搭乗」。
いつも空港でうんざりするのが、エコノミー・クラスのチェックイン・カウンターで並ぶことになる長蛇の列。マルコポーロクラブ会員だと平会員の「グリーン・ティア」でも「マルコポーロクラブ専用カウンターでのチェックイン」を利用でき、スムーズにチェックイン手続きを済ませることが出来ます。
チェックインを済ませ、搭乗ゲートから飛行機に乗る際も「優先搭乗」出来ます。
「優先搭乗」も「グリーン・ティア」から利用でき、押し合いへし合いせずに、ゆっくりと自分の座席まで行くことができます。
「グリーン・ティア」では利用できず、「シルバー・ティア」以上の特典になりますが、「追加受託手荷物許容量」の特典も色々と旅先で買い物をしてしまいがちな人には嬉しい特典。LCCほど厳しくないとはいえ、手荷物の超過料金も安くはないですからね。
マルコポーロクラブで「ラウンジ利用」できる特典
グリーン | シルバー | ゴールド | ダイアモンド | |
---|---|---|---|---|
特典交換でのラウンジ利用 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
キャセイパシフィック航空、香港ドラゴン航空のビジネスクラスラウンジ | ◯ | ◯ | ◯ | |
キャセイパシフィック・ファーストクラスラウンジ | ◯ | |||
ラウンジへのゲスト同伴 | 1名まで可 | 2名まで可 | ||
ザ・アライバルラウンジ(同伴者の利用不可) | ◯ | ◯ |
搭乗クラスに関係なくエコノミークラスでも、キャセイパシフィック航空の誇るビジネスクラス・ラウンジを利用できるのが、マルコポーロクラブに入るメリットの多くを占めるかもしれません。
特にキャセイパシフィック航空の本拠地である香港国際空港のビジネスクラス・ラウンジには、ヌードル・バー、ロング・バーといった特徴あるレストラン、バーがあり、ラウンジでの時間を楽しみにして、フライト時間よりも早めに空港に行ってしまうほどです。
また、食事だけではなく、シャワールームを備えるラウンジもあるので、乗り継ぎの間にシャワーでさっぱりリフレッシュすることも出来ます。
・キャセイパシフィック航空ビジネスクラス・ラウンジ
バンコク、北京、フランクフルト、香港、高雄、クアラルンプール、マニラ、メルボルン、パリ、ペナン、サンフランシスコ、上海、ソウル、台北、東京、バンクーバー
平会員の「グリーン・ティア」でも、アジア・マイルを使ってビジネスクラスラウンジ利用の特典交換が可能。でも、9,000アジア・マイル必要なので、ちょっと高いかもしれませんね。
マルコポーロクラブで上級会員になるために必要なクラブ・ポイント
キャセイパシフィック航空のマイレージプログラムであるザ・マルコポーロクラブで上級会員になると、より魅力的な特典を利用できるようになるのはわかったのですが、平会員の「グリーン・ティア」から上級会員となる「シルバー」「ゴールド」そして最上級の「ダイアモンド」になるには一体どれだけフライトに搭乗する必要があるのでしょうか?
マルコポーロクラブでは「マイル」ではなく、「クラブ・ポイント」をいう名称のポイントを貯めていきます。クラブ・ポイントは、予約クラスと飛行距離ゾーンで決められています。より高い運賃で、より遠くへ飛ぶと、より多くのクラブ・ポイントを獲得できるようになっています。
必要クラブ・ポイント数 | |||
---|---|---|---|
グリーン | シルバー | ゴールド | ダイアモンド |
100 クラブ・ポイント | 300 クラブ・ポイント | 600 クラブ・ポイント | 1,200 クラブ・ポイント |
但し、JAL日本航空(JL)やANA全日空(NH)のシステムとはやや異なる仕組みとなっているので、少し注意が必要となっている。
ザ・マルコポーロクラブに加入した時の会員ステイタスは「グリーン」ティア。グリーン・ティアになってから、1年以内に300クラブ・ポイントを獲得すれば、上級会員である「シルバー」ティアになることが出来る。
上級会員にランクアップ、もしくは下級会員にランクダウンした際には、その時点でクラブポイント数が0にリセットされ、次の上位ティアに向けて、改めて、0からクラブ・ポイントを積算していくという点が、日本の航空会社と大きく異なります。
例えば「グリーン」ティアになってから1年で、1,200クラブ・ポイントを獲得しても、「ダイヤモンド」ティアになることは出来ません。
300ポイント獲得後に「シルバー」にランクアップ、「シルバー」になってから600ポイント獲得後に「ゴールド」へランクアップします。そこから、改めて1,200ポイント獲得することで、ようやく「ダイアモンド」となるため、通算で2,100以上のクラブ・ポイントを獲得する必要があります。
日系航空会社では、1月から12月までの暦年で獲得したポイントにより、会員ランクが決まります。一方、キャセイパシフィック航空のマルコポーロクラブでは、上級会員にランクアップ、もしくは下級会員にランクダウンの直後から1年間、もしくは上級会員にランクアップ、もしくは下級会員にランクダウンするまでが、クラブ・ポイントの積算期間となっています。
ですので、「ダイアモンド」に到達するにあたり、2,100ポイント以上を1年の間に獲得する必要はなく、「グリーンからシルバー」「シルバーからゴールド」「ゴールドからダイアモンド」と最長3年かけて獲得もできることになります。
では、例えば、「グリーンからシルバー」にランクアップするには、どれぐらいフライトに搭乗する必要があるのでしょうか?東京・成田〜香港、香港〜バンコク、香港〜ロンドンの往復で獲得できるクラブ・ポイントを一例で見てみます。
東京・成田〜香港 | 香港〜バンコク | 香港〜ロンドン | |
---|---|---|---|
エコノミークラス (Vクラス) | 20 クラブ・ポイント | 20 クラブ・ポイント | 70 クラブ・ポイント |
ビジネスクラス (Iクラス) | 50 クラブ・ポイント | 50 クラブ・ポイント | 180 クラブ・ポイント |
東京から香港をエコノミークラスで往復すると、20クラブポイント獲得。「グリーンからシルバー」に必要な300クラブポイントには15往復が必要。ビジネスクラスだと、1往復50クラブポイントなので、6往復で達成します。
東京から香港経由でバンコクへエコノミークラスで行くすると、一往復で40クラブポイント獲得。「グリーンからシルバー」に必要な300クラブポイントは7.5往復で達成できます。一方、ビジネスクラスの利用だと、一往復で100クラブポイント獲得。3往復でシルバーにランクアップできます。
次は、東京から香港経由でロンドンの場合。エコノミークラス一往復で90クラブポイント獲得。「グリーンからシルバー」に必要な300クラブポイントには約3.5往復が必要。ビジネスクラス一往復で230クラブポイント獲得。約1.5往復で達成です。
いかに、料金の高いクラスに乗らないと、より上級の会員ランクには上がりにくい、ということなんですね。
マルコポーロクラブで獲得できるone worldワンワールドのステータス
キャセイパシフィック航空は航空アライアンスであるone worldワンワールドに加盟しています。そのため、マルコポーロクラブで上級会員ステータスを保持していると、キャセイパシフィック航空だけではなく、日本航空やアメリカン航空といったワンワールド加盟の他の航空会社でも特典サービスも受けることが出来ます。
グリーン | シルバー | ゴールド | ダイアモンド | |
---|---|---|---|---|
one worldステータス | ルビー |
サファイヤ |
エメラルド |
|
事前座席指定 | ◯ | ◯ | ◯ | |
優先チェックイン | ◯ | ◯ | ◯ | |
優先キャンセル待ち | ◯ | ◯ | ◯ | |
空港ラウンジ利用 | ビジネスクラスラウンジ | ファーストクラスラウンジ | ||
同伴者のラウンジ利用 | ◯ | ◯ | ||
優先搭乗 | ◯ | ◯ | ||
超過受託手荷物許容量 | 15KG | 20KG | ||
手荷物の優先扱い | ◯ | ◯ |
マルコポーロクラブの平会員「グリーン」ティアではone worldのステイタスはありません。
ようやく「シルバー」ティアになると、one worldステータス「ルビー」となり、座席指定・優先チェックイン・優先キャンセル待ちのサービスを受けることが出来るようになります。
マルコポーロクラブ「ゴールド」ティアになると、空港ラウンジ利用・優先搭乗や同伴者のラウンジ利用といったサービスも利用できるようになり、旅も更に快適なものになります。
マルコポーロクラブで受けることができるサービスは魅力的なので、頻繁にキャセイパシフィック航空を利用するならば、ゴールドティア以上の上級会員ランクを目指してみたいところ。東京から香港経由でロンドンへビジネスクラスに乗って、「グリーン」から「ゴールド」だと、4往復ほど、だいたい40万円x4往復で160万円で軽く(?!)達成ですかね。